部屋と扇風機と私

今週のお題「わたしの部屋」

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全身モノグサの私に、時代が追いついてきました。

「リモートワーク」や「在宅勤務」などの便利な言葉を誰かが作ってくれたおかげで、大手を振って自宅で仕事をサボることができるようになりましたことに付きましては、この上ない幸せと、この場を借り、国民を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。

 

リモートワークの月曜日午前中。

「やる気ない」「したくない」「土曜日が待ちきれない」の3ないが定常的に稼働しているものだと思いますが、今週の月曜日午前中も、デジャブと思うくらいに、いつもと全く同じ月曜日午前中でした。

お昼になり、いつものように、様々なものが散らかっている仕事部屋からリビングに移動し、いつものごとく、コーヒーを淹れ、日曜日に買っておいたパンを片手に、いつもどおりに、テレビをザッピングしておりました。

どのチャンネルも、毎度お馴染みの人たちが、お馴染みの感じのことを言い、お馴染みの深刻ぶった顔をしたり驚いたりしたふりをしていたのですが、8チャンネルに変えた時に、ちょっと違和感を感じ、しばらく見入ってしまいました。

何かが違い、何か足りない感じがしたのです。

そして、ようやくわかりました。

坂上忍がいないのです。

調べてみると、「バイキング」 終わっているそうじゃないですか。

Wikipediaによると、この番組、8年も続いていたそうで。

笑っていいとも!」の後をうけて、当初から期待薄の上に迷走している風で、出演者もやっている内容も秋の空くらいに変わっていましたので、いつ終わっても不思議じゃなかったというか、終わっていなかったのが不思議なくらいでしたが、こんなに長く続いていたとは存外でした。

世の中って、意外なものが意外と長続きするものです。

 

私が最初に付き合った人は、坂上忍のファンでした。

今、坂上忍のファンだと言えば、ウケ狙いと思われるか、変わり者認定されること確定だとおもいますが、35年くらい前、私が高校生の時分でも、ニュアンスの違いはあれ、状況はそれほど違わない感じでした。

当時はジャニーズのタレントである田原俊彦近藤真彦や、デビューしたての吉川晃司などのファンであるか、ヤンキーは横浜銀蝿系列っていうのが相場だったのですが、坂上忍ってチョイスは、きりもみくらいの捻りが入っていました。

ちょっと変わった子だったんですよね。

高校入学まもなく、彼女から「付き合ってほしい」と言われたのですが、坂上忍とは似ても似つかない容姿で、クラスでも最下層くらいにいた私を、なぜ彼女が選んだのかは未だに良くわかりません。

おそらく、そんなに好きでもなかったのに「こいつなら断らないだろう」という安全パイ狙いと予想つきましたので、一度は、男(もしくは漢)の面子にかけて、ハッキリと断ってやった、、ということもなく、「なんか付き合うって楽しそう」と、プライドのかけらもなく浮かれてしまい、二つ返事でOKをしてしてしまいました。

当時も今も、意思が限りなく透明に近いくらいに薄いのが悩みです。

そんな二人ですから、すぐに別に好きな人ができて別れてしまうことになるんだろうなって思っていましたが、意外にも、私が大学進学で埼玉へ引っ越しするまでの間、何となく続いていました。

付き合っている間、二人ともどちらかと言えば平熱で、それほど熱くなることもなく、盛り上がりには欠けていました。

単に居心地がいいっていうだけだったのですが、それがよかったのかもしれません。

意外な関係が長続きするものです。

 

初めての一人暮らしで埼玉に引っ越した夏、暑さにたまらず、私は扇風機を買いました。

「どうせ、すぐに買い換えるのだからテキトーでいいや」という感じで近所の電気屋で選びました。

3段階の風速調整とお情け程度のタイマーがある、これといった特徴のない、ごくごく普通のものです。

30年経った今、部屋を見渡せば、その扇風機があります。

引っ越すたびに、処分リストには乗っかるのですが「大きいものじゃないし」、「引っ越してから買い換えればいいや」、「とりあえず」などの比較的ネガティブな理由で残り続けたのです。

意外なものが長い付き合いになったりするものです。

 

考えてみればですが、部屋のなかで思い入れがあるものって、意外と少ない気がします。

”こだわりの”とか”一点モノ”とか”デザイナーズ”みたいなものってなんか圧が強すぎて。

「えぇ、大したモノじゃございませんから、お気になさらず、ちょっと場所をお借りしますが、えぇ、お構いなく、気配は消しておきますから」くらいのモノの方が安心します。

多分、大事なもの、思い入れがあるものがありすぎると人って疲れてしまうのではないでしょうか。

少なくとも私はそっち方面の人間のようです。

どうでもいいものに囲まれている方が居心地がいいんですよね。

若干、残念な気もしなくはないですが。

 

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