Eテレ 漫勉neo - 安彦良和 - 楽しく仕事をするヒント

お題「気になる番組」

f:id:KH2018:20210619153055j:plain

オレは鼻くそをほじるのは人差し指と決めています。

親指じゃ入らないし、綿棒なんて道具に頼るのは漢のすることじゃない。

このオレの、オレ自身の人差し指。

この一択のみで生きる。

これが、漢の生きる道。

ハードボイルドは時として険しいものです。

 

で、先日、ソファーに寝っ転がり、右手人差し指で鼻くそほじりながら、

テレビ見てましたら、Eテレ浦沢直樹の漫勉neoの予告をやっていまして。

www.nhk.jp

なんとなく気になったので、本編、観てみました。

#9 ゲストは、安彦良和さんです。

 

観てね。ぶったまげた。

安彦良和さんの仕事に。

いやはや天賦の才としか思えない、その仕事。

 

このページを見ているような人には説明は不要だと思うのだけど

安彦良和さんといえば「ガンダム」、あのアムロ・レイなどの

キャラクターデザインなどを担当された元アニメーター、現漫画家です。

オレ達の子供時代、ガンダム好きのウチの壁には、

もれなく、安彦良和さんか大河原邦男さんのポスターが貼ってあり、

あの独特の柔らかさを持った安彦さんの絵のクオリティは、

他の絵を見るときのベースになっています。

 

ガンダム以前でいうと、安彦さんが担当された作品としては

勇者ライディーン」や「超電磁ロボ コン・バトラーV」などがあります。

勇者ライディーン」が放送開始されたのが、1975年(昭和50年)。

1975年は、ベトナム戦争終結した年であり、首相が三木武夫

勿論、インターネットなんぞなかったし、携帯電話どころかポケベルもなく

東西冷戦真っ只中という時代で、調べると安彦さんは29歳だった様です。

作品に取り掛かるとなるとそれ以前からでしょうから、

20代後半で、ライディーンのキャラクターデザインを任されているなんて、

やはり抜きん出た才能だったのでしょう。

 

Eテレ 漫勉neoでは、衰えない、その信じられないような才能、

テクニックを見ることができました。

 

見てて、一番驚いたのは、安彦さんがアタリを付けないで漫画を描くこと。

学校の壁新聞に、

  1コマ目:子供が自転車とぶつかる

  2コマ目:その子供が車に轢かれる

  3コマ目:その子供がロードローラーでペシャンコにされる

  最後のコマ:「どうろを歩くときは気をつけよう」の文字

てな、なんのオチもない、生徒、先生巻き込んでドン引きさせるような

4コマ漫画描いた経験を持つオレでもわかるけど、

サラサラとアタリもつけずに描いていくなんて、

もう、ほんと、スゴイの一言です。

 

子どもの頃に読んだ「漫画入門」にも書いてあったけど、

普通、人物を描くとき、顔に十字線を入れて、目の位置やら、向きを決めて、

骨格のラインを書いてそこに肉付けするのが普通だと思うんですよね。

ですが、安彦さん、眉毛を描いたら、目を描いて、顔を描いて、

肩を描いて、身体を描いて、それを余計な線を入れずに一発で描くのですよ。

 

安彦さん曰く、

「いわゆる面取りって、あれはつまらない。

 十字書いて 骨格描いて それでデッサン決まったな なんて

 それから”さあお楽しみの顔を描こう”なんてときには

 楽しくなくなちゃってるんですよね

 それは違うよって気がする」

とのこと。

 

それから、安彦さん、ネームを作らないのだそうです。

ネームというのは、漫画を描くときの準備原稿のようなもので。

原稿用紙に、コマ割り、絵、セリフをほぼ仕上げの原稿くらいに書いて

そのネームを元に清書として本物の原稿を仕上げるというのが

普通なのだそうですが、安彦さんは、原稿用紙に、

一発本番、出たとこ勝負で、描き上げちゃうんですよね。

 

ホストの浦沢直樹さんが言っていましたが、漫画家のジレンマとして

「清書がネームに勝てない」のだそうです。

最初に思いついているネームでの段階が、一番生々しく、

発想としての良いところが現れているのだけど、

それだと商品としてのクオリティを保てないのでしょう。

なので、浦沢直樹さんも分かっちゃいるけどネームを作らないなんて事はできないと

番組内でおっしゃられていました。

 

ですが、安彦さんは

楽しいことを犠牲にすべきでない

とおっしゃられます。

「仕事になればなるほど そんなこと始めますね」

なども言われていました。

 

これって、ほんと、至言だなと思いました。

こんなことって、他の現場でも、起こっているんじゃないですかね。

例えば、プログラミング。

プログラミングって、思いもしなかったような機能を思いついて、

それを組み込むことが、一番の楽しみだったりすると思うのだけど、

なんちゃら開発手法だの、なんちゃら思考アーキテクトだのと言っちゃって

仕様書通りに作ることしか許されず、作っているときは全然楽しくない。

楽しさを犠牲にしていたりしますよね。

多くのことが結果優先で、逆算で動いててね。

バズることを目標に、バズるために何をしたらいいか、

バズるように如何に楽しくやっているように見せられるか、

なんて競争が、至る所で行われている気がします。

もうね。全然、楽しくない。。

 

それとね。

ちょっと気になったのですが、安彦さんの自宅兼仕事場が

映し出されていたのですが、場所が所沢でね。

勿論、みすぼらしい家ではないですが、豪邸って感じでもなく。

あのアムロを産んだ男ですよ。

別に所沢が悪いってことじゃないですけど、

都内の一等地に豪邸がドーンと立ってないとおかしいでしょう。

あの絵とキャラクターが、世間で、どんだけ使われてて、

どんだけ周りが食わせてもらっているか。

それが、安彦さんに還元されてないって、おかしいでしょう。

別にあたしゃアニメ業界の人じゃないですけど、権利系をちゃんとして、

お金は払われるべき人に渡ってないとね。

いつまでも雑居ビルの狭いところで、

安い給料でやらせている場合じゃないでしょ?

って、左手の人差し指で鼻ほじりながら考えてます。

 

 ご意見などありましたら、コメント欄かk2h02018@gmail.comまでどうぞ。