インベーダーから大神に飛んで、飛んで、回って、回った話

今週のお題「やり込んだゲーム」

 

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忘れたいことが今の私には多すぎます。

小学生の頃にインベーダーゲーム(正式名:スペースインベーダー)というものが流行りました。インベーダーゲームを知らないヤング諸君はWikipediaで調べてください。古いAVのモザイクくらいのドット絵が動いているだけのゲームになぜ子供だけではなく大人までもが熱狂したのか不思議に思うかもしれませんが、当時はそれが最先端で、とんでもなく未来感が漂っていたのです。

そのゲームはテーブルと一体の筐体になっており、いわゆるアーケードゲームなのですが、当時、ゲームセンターというものはほぼ存在しておらず、主に喫茶店に置かれていました。とにかく大ヒットしましたから、喫茶店オーナーとしては、喫茶店に置いて、コーヒー代とゲーム代(百円)の両方で利益を出すというビジネスロジックを組んでいたのでしょう。

私はインベーダーゲームに夢中でしたが、小学生だった私は親同伴なく喫茶店に入ることなどできず、唯一、小学生でも行ける場所に置いてあったのが、バッティングセンターでした。インベーダーゲームに投入できる資金を手にすると、いつも私は友達を複数人誘いバッティングセンターへいく計画を練りました。というのも、当時、バッティングセンター・ヒエラルキーの最下層にいた私たちは、中学生からの格好のカツアゲ対象とされていたため、個人で勝てないならと人数で対抗しようとしていました。そのようにして綿密なプランを練り、大挙して友達たちと繰り出していたものの、資金潤沢なお小遣い制度を確立していなかった私は1回百円というこの高価な投資に疑問を持つようになっていき、百円で買えるお菓子と天秤にかけ、そのうちプレイすることもなくなりました。

その後、家庭用としてはゲーム&ウオッチファミコンセガサターンプレイステーション3DOなどが次々リリースされましたが、全て素通りでした。"たまごっち"さえ、持つことはありませんでした。特にゲーム嫌いというわけではなかったのですが、なんとなく興味が持てなかったのです。

 

そんな私が唯一、所有したゲーム機が任天堂Wiiでした。確か、買ったのは2008年くらいだったと思います。Wiiは当時、大ヒットし売れに売れていました。まだ、初代iPhoneが出始めの頃です。その時は、その後iPhoneがゲーム機メーカーを駆逐する勢いとなるほどのメジャー・デバイスとなることとは知るよしもなく「あぁ、ジョブズiPodで成功したからって、変なところに手を出したな」という見方が大半だったと思います。私も、同じく失敗すると思っていました。そのころの携帯電話の主流はガラケー。携帯で動くゲームもありましたが、iモード上で動くような超ドメスティックで、ガラパゴスどころか小豆島くらいの狭い範囲で提供されているものくらいしかありませんでした。通信環境も整っていませんでしたし、携帯でゲームをするなんてことは「まぁ、ゆくゆくはそうなるだろうけど、10年後くらいだよね」くらいの雰囲気でした。ゲーム業界といえば、任天堂ソニー、MSがどこまで追いつけるかという構図でした。

ゲーム業界はそこそこ盛り上がっていた時期ですが、私自身は、ゲームを全く知りませんでしたし、それほど興味がありませんでした。しかし、その当時付き合っていた彼女が「運動不足だからWii Fitで運動したい」と言い出し、渋々という感じで買ってしまいました。

 

しばらくは、Wii Fit専用機として使っていたのですが、そのうち、ゲーム機買ったのにゲームしないものなんか変だなと思って、何かソフトを買いたそうと思いました。とはいうものの、ゲーム素人の私はどんなゲームがあるのか、どれを買えば良いのか全くわからず、とりあえずネット検索して評判の良さそうなものを探し始めました。そうすると「大神」というソフトの評価が高く、それを買うことに決めました。

ja.wikipedia.org

このゲーム、絵が全編、筆タッチ日本画風のアクションRPGで、動かすキャラクターが犬っていう、ちょっと変わったものでした。初めてのソフトなんだから、普通に、マリオシリーズとかゼルダとかドラゴンクエストとか有名どころを選択しておけば、その後の展開も変わったような気がしますが、若さゆえの「俺はそこいらへんにいる男とは違うぜ」的な間違った気負いから、そうしてしまったのかもしれません。"いやいや、インベーダーゲームから、そんな捻りまくったゲームに飛んでいかなくても、、"と今なら思うのですが。。

 

大神をやり始めると、ガイドが出るものの操作がよくわからず、当初は、かなり苦労しました。自分が一体なにをやっているのかさえ分かっていませんでした。最初のステージから次に行けなくて、とにかく同じところを回り回っていました。「一体、これのどこが面白いんだろう?」と疑問ばかりが湧いていましたが、続けられたのは"意地と根性"それしかありませんでした。

 

その状況は、当時の自分の実生活とも重なるところがありました。私は前年に転職し、転職先の会社で2年目になっていました。何かをやりたい気持ちはありましたが、どうにもうまくいかない感じを常に持っていました。前職でうまくいっていたことが転職先では回っていかず、気持ちばかりが空回りして自分の力を発揮できていないと思っていました。そして、ふつふつと闇の感情だけを蓄えていました。彼女とは、うまくいっていないということではなかったのすが、会っても これといった話をせず、いわゆる倦怠期的な状況でした。

 

大神の最初のステージで鬱々としていた時に、インターネットでサーフィンしていたところ、たまたま攻略サイトというものを見つけました。少しでもゲームをしていた人からすれば「そりゃ、おせーよ」というような真っ先にやらなくてはいけないことなのでしょうが、白帯初心者の私は、それに気がつかず、かなりの時間を最初のステージで費やしてしまいました。

攻略サイトを参考にすると、少しスピードアップしてステージをクリアしていくことができるようになりました。ですが、それでも「これの一体、何が楽しんだろう?」という感覚は消えず、意地と惰性だけでプレイする時間が長く続きました。

 

それが、中盤のボスキャラ、ヤマタノオロチを倒すと状況が一変しました。このあたりから、物語のスピード感も早くなり、私はどんどん このゲームにのめりこんで行きました。私は、早めに会社に出社し遅くまで会社にいるというタイプのサラリーマンだったのですが、この頃は、大神をプレイするために会社の終業時間にはそそくさと帰り、家に着くや否やゲームを始めるような生活をしていました。電車乗っていても、ミーティング中でも、どうやってクリアするかを考え続け、頭の中ではBGMがなり続けていました。そんな感じですから、彼女が来て食事を作ってくれている時も、その間、ゲームに没頭し、食べ終わると早々にゲームを始め、夜遅くまで画面と対峙するようなことになっていました。今考えると、彼女には ひどいことをしてしまいました。

 

時間をかけてやり込み、そして、最後のボスキャラを倒すと私の気分は東MAX。やり終えて放心状態になってしまいました。平原綾香さんのエンディングも良かった。いい大人が、冒険と仲間、忍耐を学んだ気になっていました。

 

このゲームをやり終えてから、私に心境の変化が少しありました。それまで、仕事では「他人の手は借りない。自分でやりきらなくはならない。」のような、ちょっと肩に力入りまくるようなところがあったのですが、攻略サイトやらYouTubeなど見ながらプレイするうちに、借りれる力は借りてやってもいいのだと思うようになりました。そして、もの(Wii)によって、生活って結構変わるものだということも学んだが気がします。

 

その後、私は車を買いました。かなりの出費でしたが思い切りました。車によって私の生活はかなり変わりました。それまではインドアで、出かけることってそれほどなかったのですが、少し外の世界を楽しむようになった気がします。そして、ダラダラとした倦怠期真っ只中のようだった彼女との関係も変わり、車に乗ることで二人の会話が弾むようになりました。物によって、そんなに劇的に変わるなんて不思議なものです。その変化は、Wiiであり大神というソフトからの流れからだと感じています。大袈裟な表現にはなりますが、大神は私にとって、まさしく神となりました。

 

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