試験における体調管理の重要性とその対策

今週のお題「試験の思い出」

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みなさん、

中学や高校で、やたらとウンコにいくやついなかったでしょうか。

それ私です。

 

女性の方はよく分からないと思いますが、男性は思春期になると

神経性の下痢の症状になる人が多数いるのだそうです。

と言いますか、半径10メートルくらいの調査によると、

男性全員がそれになっています。

昔聞いた話ですと、思春期のホルモンバランスかなんかの影響で、

精神的な不安定さから胃や腸が不調になり下痢となるらしく、

大人になると自然と治るものらしいです。

つまり、ちょっとしたプレッシャーや悩み事があると、

思春期では、すぐに下痢の症状となるのです。

 

しかし、それを知ったのは、高校生になってからで、

そんな知識を持ってなかった、私がうら若き中学二年生のみぎり。

そいつは、春の中間テストの真っ最中にやってきました。

 

春の中間テストは、5月の下旬くらいに行われていました。

その時期は、暑くもなく、寒くもなく、

教室の窓から見えるプラタナス並木の若葉が眩しい、

すこぶる良い季節です。

中二の段階では、高校受験は当分先の海の向こうのような話に思え、

部活といえば、3年生がいなくなった開放感と

後輩が入った事による優越感に優しく包まれ

瞼の裏には「しあわせ」の文字がしっかり刻印されていました。

(本人の個人的見解です)

 

当時、私は下痢なんてほとんどしたことがなく、

体が丈夫で、多少風邪を引いていても

家で寝てるよりは、学校行っていた方が楽しいと思っていた

濃縮還元100%の能天気さだけが取り柄のバカでした。

 

そんな私に不幸がおとずれたのは、忘れもしない5月の中間試験。

数学のテスト真っ最中の出来事でした。

始まって10分くらいして、私はお腹に違和感を感じ始めていました。

 

最初は、なんとか数学の図形問題に集中しようとしていましたが、

時間が経つ毎に、お腹の痛みはどんどん酷くなっていきます。

痛みで汗が溢れてきて、手と足は震えるし、悪寒が激しく

もうテストどころではありません。

 

ですが、その当時、私はクラスに好きな子がいて、

どんなことがあっても、そう、例え死んだとしても、

”試験中にウンコに行く”なんてことはできないと思っていました。

 

その子は、いつもクリーニングしたてのような美しいプリーツスカートをはき

清潔感あふれるショートボブの髪がとても似合う、

ウンコなんてしない(たぶん)素敵な女の子でした。

私が、試験中にウンコにいったとバレたりした日には、

きっと、その子は、目を少女漫画の白目くらいに真っ白にして、

軽蔑の眼差しを向けてくると、100%確信していました。

ですから、どうにかしてこの難事を乗り切らなければなりませんでした。

ちらっと彼女をうかがうと、黒髪の間から見える白い肌を少し赤めながら

健気に問題を解いていました。

 

彼女のことは気になるものの、ウンコももうとば口まで来ており

のっぴきならない状況でした。

もう、いっそ漏らしてしまって、知らぬ存ぜぬを押し通しすとか、

このまま舌を噛み切って死んでまおうかとか、

いろんな選択肢が、ぐるぐると、

数学の解答以上に浮かんできていました。

 

しかし、とうとう

「これ以上辛抱すると、漏れてしまう」

というところまで追い込まれてしまいました。

ない知恵を絞って考えて見たものの、

「いや、もう、これは逃げられない」と覚悟を決めました。

そして、さりげなく、そして最大限にさりげない雰囲気の演技をしながら

(実際は死ぬ思い)

震える手をあげ、

「先生、トイレに行っていいですか?」

と声を発し、静まりかえっていた教室の沈黙を破りました。

私の清水の舞台でカラオケ歌うくらいの勇気とは裏腹に、

あにはからんや、先生はあっけなく、

「おおそうか。行ってきなさい。」

と言い、何事もなかったように、

新緑からの反射で穏やかな光を放っているグラウンドを

ぼんやり眺め続けました。

 

私は先生に睨みをきかせながら、肛門をキュッと結び猛ダッシュです。

上半身からお腹までは刺激を与えないよう固定した状態で

足だけをマッハで動かしトイレに向かいました。

上半身の体幹はローマ時代の中田英寿並みにぶらさず、

下半身はベンジョンソンの動きで高速移動です。

きっと、その姿を外国人が見ていたら

「おぉ、ジャパニーズ・ニンジャ!!」

って驚くくらいの超絶テクニックだったはずです。

 

トレイに駆け込み、焦る気持ちを抑えつつ、勢いよく出すと、

とてつもない開放感を味わいました。

もう、幸福感で世界中の人を愛したくなり、

「エイドリアーン!!」

と叫びたい気持ちを必死に抑えました。

世界、いや宇宙と一体化した喜びです。

しかし、そんな多幸感を長く味わっている暇はありません。

長居をしているとウンコだとバレてしまいますので、

急いで、流すものを流して教室に戻りました。

 

残りの時間がある状況で席には戻れましたが、

幸福感で満たされていた私は、試験など上の空でした。

軽い気持ちで、残りを時間で問題を解いて提出しました。

テストの点数などどうでも良かったのです。

その時の私にとって、この難事を切り抜けたことが大事で、

最も難しい課題は

「ウンコに行ったことがバレないようにする」

ということでした。

 

この人生最大のピンチ(本人比)をなんとか切り抜け、

友人からも、

「ウンコ行ったろ?」

と言われなかったということで、私は大満足していました。

もし、その時、TV取材でもあったら、

「初めて自分で自分をほめたいと思います」

と発言していたことでしょう。

 

ですので、テスト結果は散々だと思っていのですが、後日返却された

テスト結果は、それほど悪くはありませんでした。

集中するよりも、満たされた気持ちで問題を解いたのが

逆に良かったのかもしれません。

 

それ以来、精神的に追い詰められると下痢をするようになりました。

今でも、思春期ほどではありませんが、仕事が忙しくなると下痢が

始まったりします。

 

ここで一句。

「大腸が、こころの変調、代弁(大便)し」

失礼しました。